パッと見は良い土地?
不動産屋の担当者に案内され、とある分譲地を見に行った。
不動産屋が売主として分譲している10区画ほどの半分が売りに出されていた。
ハウスメーカーの指定が無い、いわゆる「建築条件無し」の土地だ。
「分譲地の半分は既に売れてしまっているんですか?」
私の問いかけに対し、担当者が説明してくれた。
「中には、建て売りを専門にしている業者が買い取って家を建てて、建て売り住宅として販売するものもありますねー」
一角に、戸建てを建築中の土地があった。
それを指して担当者が説明を続ける。
「この戸建てを建築中の土地は、ハウスメーカーさんを通してお客様が購入されました。お客様が家を建てたいと思った時に最初に行くのは必ずしも不動産屋だけではありません。まず、ハウスメーカーへ行くお客様もいます。そのようなお客様に、ハウスメーカーが土地を探してあげるんです。建築条件無しの土地は一般のお客様だけでなく、ハウスメーカー等、いろいろな所から引き合いがあり、人気が高いんです」
まだ売れてない土地を指して担当者が言った。
「こちらの土地は日当たりが良くてオススメですよ!」
「日当たりが良くて良さそうなのに、なぜ売れ残っているんですか?」
「おそらくですが、ゴミステーションに接しているからでしょうね。でも、その分、お値段を頑張る(安くする)こともできますよ!」
ゴミステーションかー。
それはあまり気にならないんだけど、、、だけど、このゴミステーションはとても狭く、ダストボックスも小さすぎるような気がする。4世帯アパート用よりも小さいのだ。
「ここの分譲地は10区画ほどですよね。ゴミステーションはここの1か所だけですか?」
「そうです」
「ダストボックスが小さすぎやしませんか?ここに10世帯のゴミが入りますかね?」
それを聞いたとたん、担当者は困り顔になった。
「そうですね…。どうしても敷地の関係上、ゴミステーションはこのスペースしか取れなかったんですよね…しかも隣の分譲地(現在は空地)には実はゴミステーションがないんですよね…。そこに家が建った時は『うちのゴミも入れてもらえませんか?』というお願いをされることもあるでしょうね…」
ご近所づきあいもあるし、「ゴミを捨てさせて欲しい」なんて言われたら、断ることはできないだろうなぁ。
でも、さすがに入りきらないだろうなぁ。
夏場は臭いもありそうだし、ゴミの回収時刻も早朝だったらいいけれど、夕方だったら大変なことになるんじゃない?
現在住んでいるアパート周辺の戸建て住宅街にも所々にゴミステーションがあるのだが、時々、ダストボックスに入りきらないゴミ袋が何袋も積まれていることがある。
特に多いのが夏から秋にかけてだ。
どうやら、庭仕事で発生した枯葉や草木をゴミ袋に詰めて捨てているようだ。
まだ住民が若い世代であれば、こまめにゴミステーションを掃除し、きれいな状態を保てるだろう。
近くの住宅街で、ホースをつないで水を流しながらタワシでゴシゴシとゴミステーションをきれいに掃除している人を見たことがある。
しかし、30年、40年と経って高齢者ばかりの住宅街になった時、そんなにこまめに掃除ができるだろうか?
結局はゴミステーションから最も近い家の住人が、やむにやまれず掃除をする事態になるのではないだろうか?
担当者と別れてもその分譲地が気になり、ストリートビューやグーグルアースで確認をしてみた。
すると、ある区画の土地内に小さな四角い囲いが設置されており、「立ち入り禁止」の看板があった。
空撮では、地面に穴が開いているのが見える。
今日現地にはそのようなものは何もなかったのだが…?
ストリートビューの画像は少し過去のものが表示される。
どうやらその一角には井戸があったらしい。
しかし、今日担当者からはその井戸についての説明は無かったし、もらったその区画の広告にも表記はされていなかった。
結局、ここの分譲地の土地を買うことはなかった。
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