驚きの買取希望額(指値)
父所有の築40年以上の再建築不可の土地に建てられたボロボロの空き家(木造4LDK一軒家)。
大手不動産屋に売却を相談し、返事を待つこと1か月。
大手不動産屋のKさんから連絡があった。
「お父様の空き家なのですが、我々が取引している色々な会社にあたってみたのですが、やはりどこからも『買い取ることは難しい』と断られました。やはり再建築不可なうえ、建物の再利用も出来ないというところが難点でした」
「…そうですか…」
「ただ、1社だけ、そういういわゆる事故物件と言いますか…難物件を取り扱っている会社から、買い取っても良いというお返事をいただきました」
「エッ!本当ですか?」
「えぇ、ただ、やっぱり買い取る方としては本当は、きちんと測量や境界杭を打つなどを売主さんにきちんとやっていただいてから買いたいそうなのですが、、、そういう難しい手続きを全部省いて本当に『現状のまま』で買い取るとなると、もうボランティア的な感じになってしまうそうです…」
「ハァ……そんなに……」
「前の道路が狭いので、仮に家を解体するにしても300万円くらいはかかります。しかし、更地にしても再建築不可なので解体は現実的にはできませんよね。なので、解体とまではいかずフルリフォームするとしたら、あれくらいの建物だと何千万もかかり、殆ど新築を建てるのと同じようになってしまうので…。その会社の社長さんも、『買い取ったとしても、その後の利用方法が検討もつかないので困ってしまう』とおっしゃってはいるのです…」
「ハァ…それで、先方様はおいくらだったら買い取るとおっしゃっているんですか?」
「20万円です」
「に、にじゅうまん…」
想像以上に安い驚きの指値だった。
大手不動産屋のKさんがたたみかける。
「もうここからは、直接、先方(買い取ってくれる会社)の社長とお話して手続きを進めていただけますか?私は仲介に入らないので」
「ちょっ、ちょっと待ってください。一応、所有者である父に、今聞いた話と『20万円』という額を伝えますね。もしかしたら父は渋るかもしれませんので。父が渋らずに、20万円で売るということになったら、先方の社長様と話を進めることにします」
「お願いします」
すぐに父に電話をし、Kさんが言っていたことを伝え、20万円なら現状のまま処分できる旨を話した。
予想はしていたが父は即拒否。
「20万円!?そんな額になっちゃうの?!買った時は何千万もしたんだよ!?」
心底、驚き、ガッカリしたようだ。
断固として、「それならば売らない」との一点張り。
大手不動産屋のKさんの話を100%信じることも難しいが、ここまで調整したことが無駄になることと、またゼロからのスタートになること、他の空き家のこともあり、私はついついキレてしまった。
その空き家に何の想い出もない身としては、もうトットと手放してくれ!という気持ちだけだったのだ。
「じゃあどうすんのよ!?!また別な不動産屋に頼んでも結局は同じくらいの額だと思うよ?ソリャー何百社もあたれば、中にはもっと増額してくるところもあるかもしれないけど、現地に行くだけで3時間もかかるし、、、もう疲れたよ!時が経てば経つほど建物は朽ちていって、条件は悪くなるばかりだよ!その間に、建物が倒壊して近所に迷惑をかけることになったら賠償もしなきゃいけないかもしれない!また夏が来れば、また草刈りしなきゃいけない!固定資産税も毎年かかるし、このままだと、どんどんマイナス!どうすんのよ!!」
しかし、父も頑なにして、譲らない。
「そんなこと言ったって、いくらなんでも20万円で譲るわけにはいかないよ。汗水かいて真面目に働いて初めて買ったマイホームなんだよ。必死に働いてローンを返したんだ。そんな風に簡単に『ボランティアで20万円だったら引き受けますよ』って言われたって、すぐには受け入れられないよ。そんな額じゃあ納得できない」
……結局、Kさんには断りを入れることになった。
そして、父は、この空き家の賃貸管理を長らくお願いしてきた地元のH不動産(「この空き家を再度人に貸すためには、リフォーム代460万円を払わないと、新たな入居者は探せない」と言ってきた不動産屋)に、あらためて売却の依頼を持ち掛けてみるという。
希望は薄いが、H不動産屋との行く末をしばし見守ることにしたのだった。
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