境界杭と接道義務の問題
H不動産から無事(?)に鍵を返してもらった築40年以上の父所有の空き家(木造4LDK一軒家)。
H不動産との話はついたので、新たな不動産屋さんに売却依頼をすることにした。
ウェブサイトを見て良さそうな、空き家からも程近い地域密着型のI不動産に連絡をした。
空き家の住所を告げると、I不動産のその地域を担当する営業担当者が後日、現地を見に行って折り返し電話をくれる、ということになった。
スムーズ!♪
空き家の所有者は父だが、最近耳が遠くなってしまい、電話での会話がままならないため、私が電話を受けることになった。
もう所有者である父の売却の意思は固まっているのだから、私が直接不動産屋と話をして進めたほうが、スムーズ!♪
数日後、I不動産の営業担当Jさんから電話があった。
「お父様の空き家なのですが、建物は相当古いので、建物としての資産価値は無いです」
「ウンウン、そうでしょうね(それは予想してましたヨ)」
「更地にして売りに出すにしても、問題がありまして…」
「エッ?何でしょう?」
「敷地が2メートル以上、道路に接していなければ新たな建物が建てられないのですが、測ってみたところ、やや接道の幅が足りなさそうです。きちんと測量して、本当に足りなければ隣地の所有者と交渉して土地を譲ってもらう必要があります。それと、私が見たところ境界杭が見当たらないので、測量士に探してもらうか、新たに杭を打つ必要もあります」
40年以上前、新築建売分譲地に10件ほどの家が売りに出されていた。
その中で「最も安い」という理由で、旗竿地の戸建てを購入したのが父だった。
以前から、「竿」の部分の駐車場に車を停めても幅が狭くて車のドアが開けられない、とは思っていたが…。2メートルを満たしてないから、新たな建物が建てらないとは…。
Jさんが続けて言う。
「新たな建物が建てられなくても、例えば資材置き場として売りにだす、なんてことも出来なくもないですけどね…。ただ、誰が資材置き場のための土地をわざわざ買うの?っていうことですからね…」
そりゃそうだ。
境界杭も実際、無いのかもしれない。
否、最初は有ったのかもしれないが、40年以上、様々な住人が住む間にどこかに行ってしまったのかもしれない…。
当時、建売を販売した会社は今は無く、確認しようにもできない。
「それと、、もう1つありまして…」
「まだ、何かありましたか?」
「私が、家の外にいましたら、お隣の方から『庭の草が伸び放題だから、刈って欲しい』と言われまして・・・お隣の土地まで草が伸びて結構、迷惑しているそうで、凄く怒っていらっしゃいました」
「そうでしたか…。庭の草を…遠いのでなかなか行けないんですよね…(つい反射的に遠回しに言い訳)」
「でも、今後を考えると、お隣とは良好な関係を築いておいたほうがいいですよ。境界杭はお隣の同意が必要になりますし、接道幅の足りない分をお隣から譲っていただく必要もあるかもしれません。菓子折りの一つでも持って行って、早めに草刈りの対応をしないと、今後問題になるかもしれませんよ」
「……分かりました。父に伝えておきます」
「境界杭を探したり、きちんと測量をするための費用についてはお見積もりを後日、お送りしますね」
「…ハイ…」
……め、面倒くさっ!…全然スムーズじゃない…
また新たな草刈り案件が入ってしまった。
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